司法書士の年収

司法書士の年収

 

司法書士の年収ってどれくらいだろう?稼げるのかな?


 

司法書士試験に合格し、一定の実務経験を積み独立すると、年収1000万円は十分狙えます。

 

この記事では、司法書士の年収について自身の話と、知人の司法書士から見聞きした情報も含め「リアル」にまとめていきたいともいます。

 

将来的に「司法書士は食えなくなっているという話も聞くが大丈夫だろうか」などといった不安を抱き、受験を躊躇っている方にも読んでいただきたい内容になっています。

 

司法書士の平均年収の間違い

司法書士の年収について書く前に、ネット上に溢れている平均年収の間違いについて紹介します。

 

司法書士の資格を取っても食えない...は嘘

司法書士になっても稼げない、食えない。というネガティブな話を聞いたことはありませんか?...それ誤解です。

 

司法制動改革により、司法書士や弁護士の合格者が急激に増加した時期がありました。

 

司法書士の場合、平成18年から22年までが合格者増加のピークで900人が合格していました。同じ時期、司法試験も合格者が2000人を超える年もありました。

 

突如、合格者が急増したため、司法書士・弁護士は供給過多となり、一時的に就職がしにくかったり、就職しても給与が安い時期がありました。

 

その頃の「司法書士の資格を取っても食えない」「弁護士の資格を取っても食えない」という情報がでて、今でも昔の情報が一人歩きをしているのです。

 

 

私の知る限り、司法書士に登録したものの、「稼げないのでやめた」という話は聞いたことがありません。


 

特にインターネットではこういった情報が多い傾向にあり、いまでも古い情報が残っています。その古い情報をみた人が、「司法書士や弁護士になっても稼げない」と今でもなお思い込んでいます。

 

つまり、司法書士の資格を取っても食えないというのは、実態とあまりにもかけ離れています。ネットでみかける情報に惑わされないよう注意してください。

 

 

近年は売り手市場に転換

現在(平成30年現在)司法書士の合格者は600人程度に抑えられました。弁護士も「合格者を1500人程度にする」ことを決定したようです。

 

このため、合格者ピーク時の司法書士が次第に中堅となりつつある現在、供給<需要という状況となっています。

 

 

平成25年頃の「古いゾンビ」情報には要注意

司法書士も弁護士も現在は、需要の方が多い状況です。そのため、給与も自然と上がっています。

 

しかし、平成20年代前半から中頃の「司法書士(弁護士)は食えない」という情報のみが、いわば死体のままゾンビのように一人歩きをしています。

 

弁護士の世界はよくはわかりませんが、先に書いたように、司法書士は長く勤めるかどうかなどで給与が変わってきます。

 

そして、「食えない」ような給料しか出さないという事務所は少なくなっています。むしろそういった司法書士事務所には誰も応募しないのが現状なのです。

 

司法書士は、今後増えていく相続や後見業務といった確実に需要がある分野の専門家です。

 

バブル時代のようなムダな贅沢ができるというわけではありませんが、今後「司法書士で食えない」となることは、まずありえません。心配は持たれずに合格を目指していただければと思います。

 

 

司法書士の主な収入源

 

次は、司法書士の収入源の話です。大きく3つあります。


 

① 決済業務

決済業務は、司法書士の「花形業務」と言われる業務です。

 

不動産の売買の際に、代金決済と登記申請に必要な書類、本人と意思確認に立ち会い、不動産について所有権移転などの登記を申請するという業務です。

 

実際の現場では、所有権移転登記と同時に抵当権の抹消や抵当権の設定なども同時に行うこともあります。

 

この決済業務は、司法書士の伝統的な業務であり、かつ、いわゆる「実入りが良い」業務です。

 

 

決済業務は、独立して銀行や不動産業者とコネクションができてくると、依頼されるようになり、収入が増えますよ。


 

 

② 相続登記等

相続登記を中心として、相続関係の法務手続きを行います。

 

日本では、バブル期のいわゆる「不動産神話」から不動産をお持ちの方が多くおられます。そういった方に相続が発生した場合には相続登記の依頼が舞い込んでくることになります。

 

多くの場合、相続登記は戸籍の収集や読み取りなど地味な作業が中心ですが、無事に手続きが終わったときは依頼者の方は大変満足されて感謝されます。

 

 

超高齢化社会の中で相続登記は数が増えていますし、今後さらに増えます。


 

 

③ 後見業務

先ほどの超高齢化社会とつながりますが、高齢で判断能力が低下された方の財産管理を行う後見業務も司法書士会では盛んです。

 

後見の受任件数は、すべての士業の中で司法書士がもっとも多い状況となっています。

 

後見業務はこれからより一層需要が増えていくことが予想され、司法書士にとってますます重要な業務となると思われます。

 

 

その他

ほかにも司法書士には、債務整理、会社設立登記や役員変更登記、簡裁訴訟代理など数多くの業務があります。

 

登記関連の仕事は実は非常に多いのです。依頼された業務を誠実にこなされていけば、「食えない」などといった状況は決して起こることはありません。

 

稼ぐことを優先し、働き過ぎて身体を壊さないようにしなければいけません。自身が「楽しい」と感じられる業務を中心に、仕事をとっていくと長く楽しく稼げるようになりますよ

 

 

 

さて、ここからが本題。司法書士の年収の話です。①勤務する場合、②独立する場合の2通りで紹介しますね。


 

 

① 勤務司法書士の年収

司法書士は独立開業に向いている資格ですが、実務経験を積むために就職する方がいますので、まず勤務司法書士の年収について紹介します。

 

司法書士の求人情報に騙されてはいけない

「司法書士求人」という言葉を検索窓で調べてみると、月額「20~25万円」程度が多くヒットします。

 

社会保険や会費負担、賞与の有無など詳細までは一概にはわかりませんが、仮に給与が20万円だとすれば、年収240万円、25万円だとすれば、年収300万円です。

 

難関資格に合格したのに安すぎると思われるかもしれませんが、これは「仕事を覚えさせてもらいつつ給料ももらっている」という形であるためです。

 

 

勉強・経験させてもらって、お金をもらえる...とプラスに捉えましょう


 

一般に、司法書士は独立志向が強く、司法書士事務所もその点はわかっています。仕事を覚えたら辞めていくものとして給料は低めの設定にしているのです。

 

もっとも近年は司法書士の需要が増えてきているため、月額25~30万円で募集をしても応募がなく、実際にはもう少し高いです。

 

 

長く勤めるならば話はさらに違ってくる

他方、「正社員」としてその司法書士事務所に長くいることを条件としますと、給与は格段に違い、30万円から50万円程度になります。

 

特に、簡易裁判所の代理人になることができる「認定司法書士」となると給与の額は上がることになります。

 

こうなると年収は勤務で400万円から700万円程度に変わります。さらに賞与があったり個人受任が可能となれば手取り額は更に増え、年収1000万円以上になります。

 

 

待遇がよいため、独立せずに勤務司法書士を続ける方もいますよ。


 

このように司法書士の年収は、その事務所に長くいることが見込めるかどうかでだいぶ変わってくる面があります。

 

一概に司法書士の年収は低い(高い)ということはできません。ただ、一般に正社員として務めるのであれば、勤務司法書士であっても、一般の生活に必要十分な収入を得ることは当然可能です。

 

 

② 開業司法書士の年収

実質、年収1000万円以上

では、独立開業している司法書士の年収はどれくらいなのでしょうか。

 

司法書士の先生に、「年収はいくら?」とは聞けませんので、確定申告のデータ等を見ますと、8割程度が500万円未満として申告をしています。

 

この額を額面通りに受け取れば、「全く生活できないのではないか」と心配に思われるかもしれませんが、これは節税をしているためです。

 

確定申告をする司法書士は個人の自営業者なので、多くの額を経費として計上して申告をすることができます。

 

例えば、司法書士同士で食事をした場合に、領収証をもらって打ち合わせの経費と計上することが可能です。脱税は絶対に許されませんが、節税をするのは個人事業主として当然です。

 

そのため、実際には十分生活できる程度の収入を得ることができます。会社勤めている人の年収に換算すると、年収1000万円以上の暮らしは十分にできます。

 

 

中には、年収2000~3000万円と同等の暮らしができていると思うと話す友人の司法書士もいます。


 

もちろん、独立した司法書士は自営業者ですから、挨拶状などで開業したことを知ってもらい、依頼を丁寧にこなし、信頼と評判を得て行くという当然の営業努力は必要です。

 

当然、個々人で収入に幅がでてくるので、全員が全員、年収1000万円を越える暮らしができるかというと、そういうわけにいきません。

 

 

ただし、登記や簡裁訴訟、債務整理などは司法書士以外では弁護士以外はすることができませんので、非常に営業がしやすい職業です。

 

 

自由もついてくる

司法書士として独立した場合、最も魅力的な部分は、時間的自由が増える点かもしれません。仕事については責任が生じる代わりに自分の裁量ですべてを決めることができるからです。

 

  • バリバリ働いて年収2000万円以上の暮らしをする
  • そこそこ働いて年収1000万円くらいの生活をする
  • 週に1日2日働いて年収500万円くらいの生活をする

 

司法書士になって、頑張れば大企業の役員ほどの収入を得ることもできます。(年収2000万円)一方で、そこそこ稼いで、自由な時間を満喫したいのであれば、そのような生活もできます。

 

 

 

司法書士の年収まとめ

 

司法書士に合格した後の年収は気にしなくても大丈夫です。


 

司法書士に合格したら、一生安泰とまでは言いません。駆け出しのころは、自身で営業する努力も必要です。独立開業したらリスクもあります。

 

しかし、難易度は非常に高い司法書士試験に合格するまでの努力できる方であれば、きっと大丈夫です。

 

司法書士になったら人生の選択肢が確実に増えます。夢と希望をもって、司法書士試験にチャレンジしつづけてください。