行政書士と司法書士と難易度の違い

行政書士と司法書士と難易度の違い

司法書士とよく比較される法律系資格に、行政書士があります。

 

本記事では、行政書士試験と司法書士試験の難易度、合格率、出題科目の違いや、ダブルライセンスの相性についてまとめています。

 

法律系の資格に興味がある方のご参考となれば幸いです

 

 

司法書士と行政書士の難易度の違い

 

合格者数の違い

行政書士試験は毎年4000~6000人が合格する一方で、司法書士試験は毎年600~800人しか合格しません。

 

受験者数も違いますし、合格者数だけで資格の難易度を比較することはできませんが、司法書士試験が狭き門であることはわかると思います。

 

合格率の違い

行政書士試験の合格率5%~15%と年度により大きく違う一方で、司法書士試験の合格率は毎年約4%で推移しています。

 

行政書士試験の合格率バラツキはあるものの約10%が目安とされており、合格率5%台になると超難化だとか異常事態と言われます。でも司法書士試験はその合格率より低い4%台なのです。

 

合格基準の違い

合格基準についても、司法書士試験は相対評価、行政書士試験は絶対評価という大きな違いがあります

 

行政書士試験は絶対評価の試験であり、法令と一般教養で一定以上の点数を取れば合格することができます。

 

一方、司法書士試験は相対評価の試験なので上位から約600人(あるいは800人)合格となります。司法書士試験の合格率が4%とほぼ一定なのは、相対評価をされているからなのです。

 

行政書士試験は、全体的な平均点を勘案し救済措置が発動する場合もありますので完全な絶対評価ではありません。

 

受験者層による違い

受験者数や合格率だけで判断できない点、それが受験者層です。

 

公式発表されているわけではないのであくまでも参考になりますが、行政書士試験の受験者層は宅建やFP2級の合格者、一方、司法書士試験は行政書士合格者や司法試験を断念した方が受験してきます。

 

 

行政書士と司法書士の出題科目の違い

次に、行政書士試験と司法書士試験の出題科目など試験の違いについて紹介しましょう。

 

行政書士試験は幅広い知識

行政書士試験では、法律知識と一般知識が問われます。

 

法律知識は、基礎法学、憲法、行政法、商法の4科目が出題され、一般知識では、政治経済や個人情報保護に関する知識、文章理解(国語の読解問題のようなもの)が出題されます。

 

出題形式は、択一式+40文字程度の記述式となっています。行政法と民法をしっかりと学ばれることが合格のポイントです。

 

行政書士合格後は手続きの代理・代行がメイン

なお、行政書士合格後の業務としては、建設業許可や入管手続き、警察関係の許可(例えば、キャバクラ店の経営許可申請)など、一般の方がご自身で申請するには大変複雑となる手続きの代理・代行がメインとなります。

 

 

司法書士試験は登記法が特徴

次に、司法書士試験では、出題されるのは法律知識のみです。一般知識を問う出題はありません。

 

出題は、択一式と記述式にわかれます。
択一式は、70問で、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・司法書士法・供託法・不動産登記法・商業登記法の11科目が出題されます。

 

記述式は、2問が出題され、不動産登記法と商業登記法について、司法書士が登記申請の依頼を受けたという設定で、さまざまな具体的事情や法律関係の書類が示され、必要な登記申請情報を作成するというものです。いわば、模擬の登記申請をするという形の出題です。

 

登記法については、司法書士試験以上に詳しく出題される試験はありません。登記のプロというのが多くの司法書士が自負として持っています。

 

合格後は登記がメイン

司法書士合格後の業務としては、多くの事務所では不動産登記がメインとなりますが、債務整理や企業法務(M&Aなど)を扱っている事務所もあります。

 

司法書士試験合格後に「特別研修」というものを受講し、かつ、認定考査という試験に合格すると、簡易裁判所で訴訟(裁判)の代理人となることができる認定司法書士になることができます。
認定司法書士まで取得すると活動の幅がたいへん広がります。

 

 

司法書士と行政書士の難易度比較・まとめ

 

結論としては、行政書士よりも司法書士の方が難易度が高いです。

 

だからといって、行政書士は簡単なのかというとそうではありません。平成18年度に試験制度の改正があり、以前の行政書士試験よりも圧倒的に難しくなりました。

 

行政書士試験は、法律系の資格の中では比較的取得しやすい資格ではありますが、法律について完全に一から学習を始められる場合には、1年程度はしっかりと勉強をされることが必要になる難易度です。

 

参考 行政書士の難易度(外部)

 

一方、司法書士は最低でも2~3年はかかる難易度であると考えておくとよいでしょう。司法書士の難易度について詳しく書いた記事がありますので、以下の記事をご覧ください。