不動産登記法・記述式の勉強方法とコツ
司法書士試験では、午後に2問記述式試験が出題されます。
本記事では、比較的、初学者の方を念頭に置きまして不動産登記法の記述式の学習のコツ・ポイントを述べさせていただきたいと思います。
ただ、記述式の学習のコツ・ポイントは到底1記事では述べ切ることができるものではありません。
そのため、ひな形習得の重要性と名変登記という2点に絞って学習のポイントを述べさせていただきます。
不動産登記法記述学習の導入としてご参考いただければ幸いです。
不動産登記法記述対策1~ひな形をマスターする
ひな形の習得が基礎中の基礎!
不動産登記法の記述対策の第一歩は、頻出のひな形をマスターするという点です。
具体的には、予備校などが出している記述式試験用の申請書のひな形集や基礎的な問題集を1冊完全にマスターするということが対策のスタートです。
学習が進んでいって、答練(トウレン・予備校等が主催する司法書士試験対策の模擬試験のことです)を受ける程度の段階となると、問題文に記載されている事実と別紙(登記事項証明書・契約書・戸籍など)から、申請すべき登記を、正しい申請順序で申請する判断能力が大切となってきます。
もちろん司法書士試験本番でも、申請すべき登記を、正しい申請順序で申請するという判断能力が問われる能力の中心となります。
しかし、申請すべき登記と、正しい申請順序が判断できたとしても、最終的には答案に具体的な申請書が書けなければ決して点数にはなりません。
まずは、申請書のひな形をコツコツと何度も書いてマスターすることが不動産登記法記述対策の第一歩となります。
なお、このひな形マスターの重要性は、商業登記法の記述式の対策でも変わりません。記述式試験対策ではひな形のマスターが合格のためへの第一歩です。
不動産登記法の記述式のひな形集・基本問題集
以下に、主に予備校から出版されている不動産登記法の記述式のひな形集・基本問題集をご参考までに掲載します。
こういったひな形集・基本問題集を1冊スラスラと書けるまでマスターすることが大切です。
近年の司法書士試験の記述式の問題では、最後の問題でひな形を書かせる問題が例年出題されています。
- 平成28年―根抵当権の変更登記のひな形、
- 平成29年―賃借権設定登記と抵当権に優先する同意の登記のひな形
- 平成30年―(区分)地上権設定登記のひな形
不動産登記法の記述式の問題はほとんどの年で大問で3問(多い年では4問)程度出題されますが、大問の1、大問の2は例年難しい出題となっています。
その一方、ひな形を書かせる問題は大問3(ないしは大問4)で出題され、ここは日頃からひな形を書く練習を積んでいる方であれば得点しやすい問題です。
ひな形をマスターするということは本試験で確実な得点源を作ることにつながりますから、ひな形はコツコツと練習して問題集1冊は必ずマスターされるようにしてください。
まずは、所有権と(根)抵当権の雛形を習得する
まずは所有権関係と(根)抵当権関係のひな形習得していくことが効果的です。
所有権関係と抵当権関係のどちらもが記述で出題されないということは、まずありません(特に所有権関係は必ず出題されます)。
まずは所有権と(根)抵当権関係のひな形からマスターしていくことで重要分野を潰していくことができます。
同時に不動産登記法の択一でも、所有権・(根)抵当権は必出ですので、不動産登記法の記述式を学習することで択一でわかりにくい点が理解しやすくなるという副次的なメリットも生まれてきます。
用益権のひな形も押さえる
所有権・(根)抵当権のひな形をある程度マスターしたら次は、用益権のひな形もある程度押さえておくことも重要です。
用益権とは、賃借権、地上権、地役権、永小作権という権利を指し、あまり記述式では出題されないものと考えられていました。
しかし、平成29年では賃借権の設定登記が正面から書かせられました。また、平成30年では、(区分)地上権の設定登記を書かせる問題が出題されています。
用益権の登記については、択一で学習をしておき、記述で出題された場合には択一の知識を利用して解答するという対応が一般的でした。
しかし、近年、用益権の登記の出題が正面から問われている傾向からすると、ある程度、用益権についても雛形を押さえておくことが重要となっていると言えます。
信託関連の登記のひな形も押さえる
なお、やや余談ですが、平成26年に信託の登記という、択一式でもあまり重点的に学習しない分野が記述で出題されて多くの受験生が驚いたという出題年度もありました。
この出題は、受験生のみならず予備校関係者も驚いたようで、平成26年以降、ひな形集にはほぼ信託の登記のひな形が掲載されています。
信託は司法書士の実務でも脚光を浴びている分野の上、平成26年の1回目の出題以来、平成30年まで出題がされていないため、いつ出題されてもおかしくありません。
信託関連の登記のひな形もぜひ押さえておきましょう。
頻出の「名変登記」も必ずマスターする
たかが名変、されど名変!
司法書士試験や登記実務では「たかが名変、されど名変」という言葉があります。
これは、司法書士にとって、登記名義人の氏名・住所変更登記(通称、名変登記といいます)は、極めて重要であり、この点でミスがあると、司法書士に巨額な損害賠償責任が生じてしまう「命取り」となるおそれがあるというくらい重要であるという意味合いです。
例えば、とあるアパートについて、登記上ではアパートの所有者が、「氏名:A山B男/住所:東京都新宿区・・」という具合で名前と住所が登記がされていたとします。
このA山B男さんが、アパートをC川D子さんに売却したので、司法書士が所有権移転の登記申請の代理を受任したとします。
この場合、申請書には売主さんであるA山B男さんの住所を書く事になりますが、A山さんが新宿区から中野区に引っ越されていた場合、事前(あるいは所有権移転登記と同時に)A山B男さんの住所が移転しているという旨の名変登記をしておかなければ所有権移転登記の申請は却下されてしまいます。
登記所(法務局)としては、住所が違う人は同姓同名の別人として判断するためです。
そして、売買による所有権移転などの登記の場合には、銀行や不動産業者など多数の人が関わり、多額のお金も動くのが通常ですから、名変登記を忘れてしまったために申請が却下されたとなれば、司法書士のミスとして損害賠償責任が生じてしまいます。
損害賠償責任問題に発展しなくても、司法書士としての信用はガタ落ちとなります
そのため、司法書士は、申請人の氏名や住所が、ご結婚やお引越しなどで登記上との食い違いがないかなどに過剰なほど神経を使います。
司法書士の不動産登記申請において、住所や氏名の変更の登記は決して忘れることができない大問題となります。
名変登記のミスは司法書士にとって命取り
上述の例は名変登記が必要となる典型的なケースですが、実際にはもっといろいろな問題があります。
兎にも角にも、名変登記のミスは司法書士にとって命取りになります。
そのため、不動産登記申請では「たかが名変、されど名変」と言われ、名変登記にミスがないかという点は最大の注意を払う点の一つとなります。
このことは当然、司法書士試験の記述でも名変登記が問われることにつながります。
不動産登記の記述でもっともひっかけのポイントとして出題されるのが名変登記です。
近年でも、平成29年・平成28年・平成26年などに出題されています。
名変登記は、要否の判断を間違えると、それだけでその年の合格は難しくなります。
答練などを受ける際に、名変登記で間違えがあった場合には必ずしっかりと復習しましょう。
まずはひな形と名変が不動産登記法の記述式学習の第一歩です!!