おすすめの市販テキスト
司法書士の勉強をしたいけど、市販教材を買うなら、どれがいいんだろう?
本記事では、司法書士試験対策のテキストとして、書店などで市販されている教材の中から、評価が高いものを特徴なども含めて紹介します。
メリットだけではなく、あえて、考えられるデメリットも記載しております。テキスト選びのためのご参考にされていただければと思います。
オートマシリーズ(早稲田経営出版)
市販テキストの中では、ダントツのわかりやすさと人気です
司法書士試験用のテキストとして、最も人気が高いテキストと言っても過言ではないのがオートマシリーズです。
司法書士試験受験生に圧倒的人気を誇っています。
オートマ(基本書)
著者である大手資格予備校TACの山本浩司先生は、 東大卒、司法書士試験にわずか6ヶ月の学習期間で1回合格、指導経験も豊富です。
山本先生のオートマシリーズは、その法律の基本的な考え方から書き起されており、独学にも耐えうる非常にわかりやすく、それでいて試験対策に必要十分な記述となっています。
オートマシリーズだけを利用して独学で司法書士試験に合格したという方もいます。
オートマシリーズ
オートマ・プレミアム(重要ポイントをまとめたもの)
オートマシリーズには、本体となる基本書とは別に、重要ポイントをまとめたオートマ・プレミアムという書籍もあり、こちらも大人気の書籍です。
オートマ基本書では、分かりやすさを追求されているため、最終的な知識のまとめとしてはやや利用しにくい面があります。
「知識の総まとめ」用の本として一通り学習してから利用することで、司法書士試験で問われる知識をスピーディに確認することができます。
オートマシリーズの悪い点・デメリット
オートマシリーズの基本書・オートマプレミアムには、デメリットという点を挙げることは難しい極めて完成度が高いテキストです。
あえて悪い点、デメリットを挙げるとすれば、第一に、文体が独特であるためやや読みにくいという点を指摘できます。
わかりやすさ、記憶に残る記述を目指されているため、記述がオリジナリティに富んでいて、その裏返しとして文体が一般の書籍とは大きく異なるのです。
そのため、「読みにくい、趣旨がつかみにくい」という印象を受けてしまう方もいます。(それでも完成度が高いので使うのですが...)
また、(やや難癖的になってしまいますが)、憲法や刑法に関しては、大学で一度学んだ方にとってはやや奇異と感じる部分があるかもしれません。
オートマシリーズは、司法書士試験に特化している内容であるため、簡略化しすぎているうらみがあり、大学院などで憲法・刑法を学ばれた方は記述内容に疑問を感じられるかもしれません。
(ただ、この点は、司法書士試験は学術試験ではありませんので、深く考えず試験対策の本として割り切るのが良いと思われます。司法書士試験の合格のためには必要十分な記述です)。
オートマシリーズは、司法書士試験対策のテキストとして「完成されている」という感があり、文体に違和感さえなければ市販のものとしては最良の書籍です。一度は手にとってみられることをおすすめします。
ケータイ司法書士(三省堂)
必要最小限のさらに「最小限」まで無駄を削ぎ落とした書籍。手軽に持ち運べるのが良いですよ。
大手予備校LECで教鞭をとる森山和正先生による書籍です。森山先生も司法書士に8ヶ月で合格し、指導経験豊富な一流講師です。
コンパクトな書籍でまさに「ケータイ」(携帯)できるサイズでいつでもどこでも知識を確認することができます。
「ケータイ司法書士」の大きな特徴は、司法書士試験で必要な情報を最小限にまとめあげている点です。
司法書士試験で問われるポイントだけを左に二色刷りでまとめ、右に○×の一問一答で知識が確認できるようになっています。
司法書士試験の書籍は(オートマシリーズもそうですが)多少なりとも情報過多になります。
しかし、ケータイ司法書士は、必要性が高い情報のみ厳選に厳選を重ねられて、無駄な記述は1行もないといった具合です。
そのため、短期間で重要知識を何度も繰り返すことができ、知識が定着しやすいという学習効果が期待できます。
ケータイ司法書士の悪い点・デメリット
ケータイ司法書士のデメリットとしては、コンパクトさの裏返しとして、説明が薄くなってしまっているという点が挙げられます。
そのため、利用前にあらかじめ一定以上の知識がないと、丸暗記をするしかないという利用方法となってしまいます。理由なしで法律を暗記することは苦痛である上にすぐに忘れてしまうおそれもあります。
ある程度勉強が進んでからの利用や、森山先生の講座を受講しながら利用するといった使い方で効能を発揮する書籍と言えます。
司法書士試験 雛形コレクション(東京リーガルマインド)
司法書士試験に必要な記述のひな形を網羅している書籍です!
最後に記述関係のテキスト(ひな形集)の紹介です。司法書士試験では記述式で基準点以上をとることが合格の必須条件ですが、最近の出題傾向として、基本的なひな形の記載を求めるという設問が毎年出題されています。
ただ、基本的なひな形ではあるものの、あまり勉強で手がまわらない分野のひな形が出題されているので、出題可能性があるひな形集を網羅的にまとめている一冊を勉強しておくことで、ひな形部分の点数が確保できます。
「司法書士試験雛形コレクション」は、LECの看板講師である海野禎子講師によるものであり、ひな形の数・内容も司法書士試験合格のために必要十分なものです。
あまりくどくどしい説明がない反面、海野講師によるポイントをついた一言コメントがついており、スピーディに雛形の練習ができる良書です。
ひな形についてはこの雛形コレクションをマスターされておけば十分と言えます。
雛形コレクションの悪い点・デメリット
雛形コレクションについても、デメリットを指摘することは難しい完成度の高い教材です。
あえてデメリットを挙げるとすれば、ひな形が十分である反面として、試験では出ない可能性が高いひな形まで掲載されており、やや分量が厚いということを指摘できます(これもかなり難癖に近いものです)。
例えば、不動産登記法で根抵当権付き債権質入れの登記などまで掲載されていますが、ここまでは出題されないのではないかとも思うので、多少絞っても良いかもしれないという感じはします。
ただ、近時のひな形を書かせる本試験の傾向からすれば、私の感覚の方が傾向からずれているかもしれません。
また、ひな形は仮に多少多めに覚えることとなっても、択一知識として生きるので、デメリットは特にないと言えるかもしれません。
いずれにしても、司法書士試験対策のひな形集としてはひな形コレクション2冊で十分と言えます。
その他:予備校の講座のテキストについて
基礎講座などを取った場合にはテキストを利用し尽くす
市販とは言えませんが、予備校の基礎講座・中上級講座などを利用して学習する方も多いと思います。基礎講座や中上級講座を利用されている場合には、まず講座のテキストを利用し尽くすことが最良です。
予備校の講座のテキストは、試験に必要な情報はすべて掲載されている上に、講師に質問もできますから、市販のテキストまで幅広く手を伸ばさない方がかえって効率的です。
予備校や通信で司法試験講座を受講している場合には、市販のテキストはまとめのものを利用する程度で十分です。