過去問の重要性と過去問を使った勉強方法
過去問が大切っていうけれど、どの過去問がよいのか?どうやって勉強した方がいいんだろう?
司法書士試験において過去問は合格の必須アイテムです。過去問を一切検討せずに合格するという司法書士受験生は絶無です。
本記事では、比較的初学者の方向けに、過去問の重要性と過去問を使った勉強方法について、詳しく解説します。
最終的に過去問の重要性をどの程度に置くかは人それぞれであると思われますが、一通り過去問を学習することは合格の必要条件ですので、ぜひ参考にしてみてください。
司法書士試験における過去問の重要性
① 過去問は合格者は絶対に落とさない
司法書士試験では過去問は何度も焼き直しで出題されます。合格者は確実に正答します。
初学者の方には、「過去問は過去に出た問題だからやってもあまり意味がないのではないか」と勘違いされる方もいますが、それは間違った認識です。司法書士試験では過去問は何度も焼き直しで出題されるのです。
書店などで分野別過去問集をご覧になってください。ほぼ同じ知識で解ける問題が数年おきに何度も出題されていることにすぐ気づかれると思います。
いわば、過去問は本試験対策の最大の予想問題集なのです。
言い方を替えれば、過去問で出題されている知識については、合格者は絶対に間違えません。つまり、過去問を落としているようでは司法書士試験に合格できないのです。
司法書士試験の合格ラインは毎年多少のブレがありますが、一般的に「択一は80~85パーセント、記述は45~50パーセント」程度です。
特に択一は、かなりの高得点を取らなければ、基準点未満(足切り)の可能性や総合落ち(択一・記述ともに基準点は超えているものの総合順位で合格点に不足してしまう)という非常に辛い事態になってしまいます。
択一基準点未満や総合落ちをしてしまった受験生は、次回の試験では、過去問で出題された知識を落とすことは絶対にないように準備をしてきます。
感覚としては、過去問知識については、合格者はコンピューターのように正確に過去問知識を試験現場で思い出して、正解していきます。
過去問で出題された知識は合格者は絶対に落とさないということは、司法書士試験ではよく言われている点です。
こういった意味で過去問をしっかりと学習しないのは合格から大きく遠ざかってしまうということをどうぞ強く意識されて過去問を検討されていってください。
② 頻出分野と「出題角度」を把握できる
過去問を学習することの重要性は、単純に過去問で出題され他知識を身に付けるというだけにとどまりません。
過去問を使って勉強することで、司法書士試験における頻出分野について、「出題の角度」を知るのです。
例えば、不動産登記法の過去問を(択一式であれ記述式であれ)学習されれば、何度も出題されているので、「根抵当権の知識が司法書士試験では極めて重要」ということに自然と気づきます。
一般に根抵当権について司法書士試験ほど詳しく出題する法律の試験は、他にはまずないと言っても過言ではありません。過去問を検討することでこうした点を知ることができるのです。
また、根抵当権についてどのようなことが問われるかということを検討すると、(特に記述を学習することによって)元本確定についての理解と知識が合否を左右するということに気づくうはずです。
このように、司法書士試験の過去問を検討することにより司法書士試験の頻出分野や、その分野出題される角度について知ることができます。この意味でも過去問はとても重要なのです。
過去問を使った勉強のやり方
過去問は解くだけでなく、答えの根拠となる条文・判例・先例の把握しましょう
過去問を購入してきて(おすすめの過去問集は後述します)、具体的にはどうやって過去問を利用すれば良いのでしょうか。
まず、前提として、一定の法律理解(予備校の基礎講座・テキストでのひととおりの学習)は必要です。過去問検討に入られる前に予備校の基礎講座やテキストを一通り読むなどということはされてみてください。
参考 おすすめの市販テキスト
基礎講座やテキストを一通り読んだ上で、過去問を解きながら正解の根拠となる知識を確認していくというのが、過去問の検討方法です。
例えば、「簡易裁判所の終局判決に対する控訴の提起は,控訴状を地方裁判所に提出してしなければならない。」(平成28年午後第5問)
⇒×「控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。」(281条第1項)
第一審裁判所は簡易裁判所なので、控訴状の提出先は簡易裁判所になります。地方裁判所ではありません。
こういった問題の場合に、大事なことは、答えの根拠となる条文・判例・先例について、六法や予備校の基礎講座のテキストを逐一チェックするという作業です。
司法書士試験では、ほとんどの問題の答えの根拠は、条文・判例・先例に求められます。(ごくまれに権威のある学術書籍や法律雑誌の記述が答えの根拠となることもありますが、数としては圧倒的に少ない)
そのため、答えの根拠となっている条文などに六法やテキストを通して触れるということが重要になるのです。
非常に地味でコツコツした作業となりますが、こういった地味でコツコツした作業の繰り返しが揺るぎない実力となり、合格へとつながることへとなります。
おすすめの過去問集
択一式対策におすすめの過去問集
過去問集は、書店の司法書士試験コーナーに行けばたくさんあります。
数多くの過去問集の中で非常におすすめなのが、早稲田経営出版より出版されているオートマ過去問シリーズです。
オートマ過去問
オートマ過去問集では過去問を現在の試験傾向から必要なものだけに厳選してくれています。
司法書士試験は40年近い歴史があり、現在では立法的に解決されてしまった問題、最近は出題がされない問題(学説の理解を問う問題など)があります。
こういった問題を省いて、現在の試験傾向から重要となる過去問のみを厳選してくれているのがオートマ過去問シリーズです。
実際、受験生の評判が非常に良く、書店で山積みされている状況を見ると、本のおびに「売上NO1」とついています。
過去問集として、オートマ過去問シリーズは大変おすすめです。
記述式対策におすすめの過去問集
市販の記述の過去問集でおすすめなのは、以下の書籍です。
辰已法律研究所の小玉講師によるものです。記述式試験の解き方がわかりやすく、しかも実践的に解説されています。
掲載年度は多くはないので、小玉講師の書籍をベースに年度別過去問集を別途検討する必要があります。
また、記述は一定のひな形が書ける状態になっていることは必須ですので、ひな形集を学習しておく必要もあります。
しかし、小玉講師の「超速解」は、市販の過去問集でわかりやすさ、実践性で「ピカイチ」と言えるので大変おすすめです。
なお、記述の過去問を検討するには、独学ではなく、予備校の講座の利用も効率の観点からはおすすめできます。記述の過去問を自力で検討するのは択一に比べてやや難しいためです。
過去問を使った勉強はコツコツ続けることが重要
司法書士試験で合格点を取るためには、決して特別な才能や飛び抜けた思考力などは要求されません。
しかし、過去問を条文やテキストを参考にして、瞬時に解けるようになるまで何度も何度も繰り返すという根気は必要不可欠です。
参考 司法書士の難易度
司法書士の難易度は非常に高いため、勉強しても勉強しても成果が出ずに、投げ出したくなることあるかもしれません。それでもあきらめずに続けましょう。
過去問を中心として、コツコツとした努力・学習を続けられることが司法書士試験合格のための必須の条件なのです。